悲劇の泥没
ウェーディング中に泥地帯で転んでやってしまいました。
ってことで、海水に浸かったわけではないので中の方まで塩水は入っていないと思うけど、確認がてら18フリームスLT3000を分解してみました。
結果を言うと中までは泥や水は入っておらず、分解しなくてもいいレベルでした。ただ、ハンドル部とその反対側のベアリングの部分に油ではない水みたいな液体が入っていたので、一応そのベアリングを洗浄しました。そして、マグシールドレスフリームスになりました。
泥没させた際の対処
泥にぶっこんでしまった際は以下の様に対処をしました。
今回はこの対応で被害は最小限に抑えられた様に思います。
ダイワリールの展開図とパーツリスト
スポーツライフプラネッツ
http://www.sl-planets.co.jp/shop/p/p00057053/
ダイワの製品サポートをしている会社。
上記URLより、リールの展開図とパーツリストを確認できます。
分解時の注意事項と必要なもの
T8星型レンチとウレアグリスはさすがに家にはないのでホームセンターで買ってきました。
ギアに使うグリスはリールグリスだと緩すぎるので、なにかないか調べてみたらウレアグリスが良い粘度でギアにも使えるみたいなので使ってみました。
ウレアグリスとT8星型レンチ(トルクスレンチ)のリンクを貼りました↓
参考にしてみてください。
分解開始
今回は泥にリールをぶっこんでしまったので、まずはリールの外側をよく水洗いして乾かしてから作業に入りました。多分海水は中までは入っていないと思うけど、念の為に分解して確認してみます。
外しながら油分や汚れは落としていきます。
スプール・ローター・ハンドルを外す
バシャバシャ水洗いしたにもかかわらず、スプールの中に水が入ったような感じはありません。泥の中にズボって入ったので、スプールの裏側も泥があるのだろうと思っていたのですが案外平気でした。
ドラグは分解しなくても大丈夫そうだったので今回は分解しません。分解する時はドラグの中身を変える時ですね。
ロータを外す際は、逆回転ストッパをONにしたままハンドルを逆回転方向に回して固定して引き抜きます。ハンドルをフリーの状態でローターを引き抜くと、下側にある部品が一緒に抜けてきてしまいます。クラッチリングまで抜けてしまうとマグシールドがなくなってしまうので、ローターはハンドル逆回転で中の部品をロックした状態にして引き抜きます。
写真には有りませんが、次の工程でハンドルを取る為にハンドルはローターを抜く前に緩めておきます。
ローターの表と裏側です。
ここも泥と水は入っていませんでした。
ローターが抜けたらハンドルも外してしまいます。
ハンドルとは反対側のキャップを外します。
ベアリングの部分に水みたいな液体が入っていました。
洗浄した時の水がキャップの隙間から入ったのか?もしかしたらボディの中にも水が入ったかもしれません。
マグシールド・ピニオンを外す
マグシールド部品一式を外します。
これをすることでマグシールドがなくなります。
写真左下のようにうまく外せるとマグシールドを残すことができますが、私はティッシュで誤って吸い取ってしまった為にバラすことになりました。
茶色いオイルがマグシールドです。
磁性をもった流体を磁石とクラッチリングの隙間に入れることで膜ができ、この部分からは水が侵入できないようになります(右上写真)。
マグシールド単体はダイワからは買うことができないので、交換修理を依頼することになります。自分で分解した場合でもダイワで修理してもらえるらしいのですが、実際のところは問い合わせをしないとわかりません。私はマグシールド無しでも構わないのでひとまずこのままで使用します。
プレートとピニオンを外した際に下側にくっついてくるワッシャーをなくさないように気をつけます。ピニオンが外しづらい時は左右に軽くカタカタと回すようにすると抜けます。
ボディのフタを開ける
特殊ネジを外してフタを取ります。
この時点で初めて外すのですが、私の個体はネジの頭が若干なめてました。
フタを外すと、大きなドライブギアが顔を出します。
フタ側についているベアリングはこの時点で外して、ベアリングの回りについていた水のような液体を掃除します。
部品をどかしたら銀のウェーブワッシャーがでてきました。いったい、どこに入っていたものなのか。もうわかりません。
こうならないように、部品を外したら一個一個裏も入念に確認したほうが良いともいます。
ドライブギアを外す
ドライブギアを外すには、リール右側のリングを外します。
先の細いものでリングに引っ掛けてこじ開けます。外す際にどっかに吹っ飛んでいくことがよくあるので、無くさないように手でフタをするなどします。
ドライブギアにはOリングがついているので傷をつけないように慎重に引き抜きます。
シャフトを外す
ここまでくれば、シャフトは簡単に外れます。
ベアリングも取っちゃいます。
オシレーティングギアを外そうとしましたが、浸水した様子が全くなかったので今回は外しません。ギアのピンの部分にはOリングがついていますので、ギアを外す際はOリングを傷つけないようにします。
ボディ右側ベアリング部に水のような液体がありましたので掃除します。
ハンドル側もそうでしたが、ベアリングより外側が濡れていました。中には侵入したような形跡が見られません。
分解してみた結果
ボディの中には泥や水は入っていませんでした。
ハンドルとその反対側のベアリングのところに水のような液体がついていただけです。
ベアリングが錆びても嫌なので、その両方を洗浄して組み立てをします。
ベアリングはパーツクリーナーで洗浄後、中にグリスを入れるグリスチューンを施しました。これにより滑らかさは失われますが、しっとりとした巻きを感じられるようになるそうです。フリームスLT3000はシーバスやライトジギングに使用しているので繊細な巻は特に必要としていません。グリスチューンによってしっとりとした巻がでるならそれは有りかもってことで物は試しです。
組み立て
ベアリングをグリスチューンしてから、各部品を組み立てていきます。
各部品の洗浄は、ばらした直後にパーツクリーナーで行っています。
ボールベアリングのグリスチューン
ベアリング自体を分解して洗浄します。
ベアリングの留め具を先でこじ開けてシールドを外し中身を出します。パーツクリーナーをかけて洗浄完了です。
中にウレアグリスを押し込んで、グリスが充填できたらフタをし、グリスチューンの完了です。これをハンドル左右とピニオン上下の4つのベアリングに施しました。オシレーティングギアは外さなかったので、そこのベアリングはそのままです。
ギア・シャフト・ボディを組み立てる
ベアリングの側面に軽くグリスを塗ってをボディはめます。
ギアの歯面、ボディの縁にグリスを塗ります。
ギアの歯面に大量にグリスを漬けすぎると巻が重くなるようなので適量をつけます。と言っても適量がわからないので大体の感覚でつけました。
シャフトの溝にグリスを塗ります。ここをオシレーティングギアのポッチが動くので忘れずに塗りましょう。乾いた状態で動作させると破損の原因になります。
オシレーティングポストA(長い方)ははめ込んでもボディの外に出てしまう構造になっているので、下方向へ落とさないように注意します。
シャフト・オシレーティングポストA・Bにも薄くグリスを塗っています。
ドライブギアを組み付けます。
ベアリングにドライブギアのシャフトを通したら、リングで抜けないようにします。
リングは開いている方向を一旦閉じた状態に癖をつけます。
その状態でドライブギアシャフトへ落とし、爪楊枝等で開きながら溝にはめ込みます。ハマったと思ったら、リングの見えている隙間に爪楊枝等の先を入れて動かしてみます。リングが動かず、リングの直線が見えなければちゃんとはまりました。はまらない場合は取り出してやり直しです。(写真右)
ドライブギアをはめた状態で回転させるとオシレーティングポストA(長い方)が下方向へ動いてスっぽ抜けますので動かさないようにします。
ドライブギアの面についていたワッシャーをつけ忘れないように気をつけます。
ボディのフタを組み付けて、下側のカバーも取り付けます。
カバーを取り付けることでオシレーティングポストAが外側へ出ないようになります。なぜこの様な構造なのでしょうか。短い方のオシレーティングポストBみたいにすればいいのにと思います。
ボディ下側のカバーをつけないうちにギアを回すと、オシレーティングポストAがニョキッと出てきてめんどくさいことになります。
ピニオン・マグシールドを組み立てる
ピニオンにつけた銀のワッシャーは1枚間違えてつけてしまいました。
この1枚の銀のワッシャーはどこにつけるのかわからなくなりました。
ピニオンをシャフトを通してボディの中に入れ込みます。
軽く入らない場合は、ピニオンを回しながら入れるとスムーズにいくと思います。
ピニオンが抜けないようにプレートを取り付けます。
写真のように作業するとやりやすいかと思います。
ネジの締め付けは、プレートが大体中心になるように調整しながら締め込みます。
続いてマグシールド部品を組み付けします。
黒のマグシールドキャップに銀のワッシャーとOリングを忘れずに。
クラッチリング、ワンウェイクラッチ、キャップ、プレートの順に組み付けます。
プレートは仮止め状態にします。
プレートの中心の穴と、クラッチリングが干渉しないように中心を出しながらネジを締めます。干渉してしまうとリールがきれいに回りません。工場の組み立ててでは隙間を確保する為に治具を用いて作業をしていると思われます。ここでは紙を隙間出しの治具として使用しました。
中心が出ると隙間が開くので、ここにマグシールドオイルを入れます。
マグシールドオイルはダイワから販売されていないので、今回はここにグリスを塗って膜を作ります。
グリスを隙間に入れ込みます。
ハンドルを付けてリールを回しながら指で押し込んでいくイメージです。
マグシールドレスで検索すると皆さんいろいろ試しているみたいです。
先人の力を借りましょう。
ローター・スプールを組み立てる
シャフトにガツガツぶつけないようにローターをはめ込みます。
ナット・スクリュー、パッキンを取り付けます。
私はメンテナンスの時にシャフトにグリスをつけてますのでつけます。
スプールを乗せていきます。
シャフトの段差に順番通り部品をつけていきます。
①のワッシャーは平らな面が下向きです。
スプール下面のドラグが出た際のクリック音を出すための溝と、ドラグノブの金具に当たる部分に軽くグリスを塗って組み立てます。
ベールを分解洗浄する
忘れてました。
ベールのストッパーの動きは、ベールを起こすとストッパーが起こされボディ側にある出っ張りに引っかかって動かなくなるようになっています。
両側の特殊ネジを外してベールを分解します。
この時グリスが付いている部分を洗浄してまた新しいグリスを塗り直します。
ここも泥や水の影響は受けていませんでした。
ベールにくっついているラインローラーをバラします。
元に戻せるように分解した順番通りに並べます。
ここも泥や水の影響は受けていませんでした。
きれいにしてオイルを塗ってから、今とは逆の順番で組付けをします。
分解洗浄完了
リールのオーバーホールができました。
(厳密に言えばドラグとハンドルノブを分解していないのでオーバーホールと言えるかわかりませんが)
ハンドル部と反対側のベアリングの所に水滴らしきものがありましたが、しっかり洗浄できた事でリールをサビから守ることができました。思ったよりも泥や水が全然侵入していませんでした。案外、水にドブ漬けにならない限り内部への水の侵入はしないのかなと思います。
分解したことでマグシールドを失いました。
私の使い方では、土砂降りの雨の中ずっとリールを逆さまにして使わない限り、マグシールド部への水の侵入はほどんど無いのではと思います。簡易グリスシールを施したのでおそらくこの先もそうそう水が侵入することは無いと思われます。
ギア面とベアリングにグリスを施した事で巻にグリスのネットリ感がでました。軽い巻きではないので好き嫌いが別れますが、このリールに繊細さは求めないのでむしろ耐久性が上がってくれればいいと考えています。
以上、18フリームスLT3000のオーバーホールでした。
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