リールのボールベアリングってどこに入っているの?

タックルと道具

回転を補佐する役割を持つBB(ボールベアリング。または軸受(じくうけ))。
これがあることによって、回転軸(シャフト)の摩擦を軽減させ、滑らかな回転を維持します。

スピニングリールにもBBが各所に使用されています。
あのリールには12個入っているから良いとか、このリールは4個しか入ってないから良くない等の話はよく聞きますが、どこに入っているのでしょうか。釣りに慣れてきて新しいリールが欲しくなった今日。ちょっと調べてみました。

これから釣りを始める人も、構造を知ることで自分の使っている道具がどのように動いているのかがイメージでき、そこから道具を使う楽しさが広がるかもしれません。釣りの楽しみの一つに道具を楽しむってのもありますからね!参考になればいいかなと思います。

私個人で調べたものですので間違いがあるかもしれません。
そこを考慮した上で読んでください。

調べたものの条件

  • SHIMANOとDAIWA
  • 汎用・釣種専用スピニングリール展開図から調べる
  • 対象機種のギア比はノーマルギアかローギア
  • ライトゲーム
  • エリアトラウト
  • 4月末現在のスピニングリール

両メーカーともにリールの番手はライトゲーム・トラウトで扱いやすい2000番を基本とします。
ギア比は自分が好みのノーマルかローギアです。2000番にハイギアしかない場合は1000番のものを調べています。

展開図でBBを確認

SHIMANO 18ステラC2000S
DAIWA 18イグジストFCLT2000S

SHIMANOスピニングリール展開図
https://www.shimanofishingservice.jp/price.php?f_p_cate1_id=1

DAIWAスピニングリール展開図
http://www.sl-planets.co.jp/shop/c/

SHIMANOの展開図では、白抜きの番号がベアリングを示しています。
DAIWAの展開図では、特に示されていないので部品表と照らし合わせて確認しました。ハンドルノブに至っては展開図には表記されておらず、部品表からの確認でした。

SHIMANOもDAIWAも同じような仕組みだろうと思っていたですが、スプールを上下させる機構が違います。SHIMANOはクロスカム方式(エントリークラスはS字カム)。DAIWAはS字カム方式を採用しています。機構が違うので、BBが○○個入っているからすごい!ってのはちょっと違うのかなと思います。

2つの図に青字赤字で書かれている名称は、次項の表に示すBBの配置部分の名称になっていますので場所を覚えておいてください。

BB搭載一覧表

SHIMANO・DAIWA BB搭載一覧表
SHIMANO・DAIWA BB搭載一覧表

画像は大きいのでクリック後拡大して見てください。

リールのグレードは左から右に行くにつれて下がります。
BBが搭載されている場所には「○」もしくは「SA-RB」等の表記をしています。
何も書かれていない場合はその場所にはBBは搭載されていません。
「○」の場合は通常のBBが搭載されています。他の説明は下に示します。

SHIMANOの場合
防錆BBはSA-RBと表記してます。
ラインローラー部に搭載されているBBは防水機構と一緒になっている為防水機構名を表記してます。

DAIWAの場合
防錆BBのCRBBがどこに搭載されているかが展開図・部品表からわからなかった為、最下部に搭載個数を表記しています。
19セルテートは2000番が無いがハイエンドなので参考までに2500番を掲載しています。
17月下美人EXと17プレッソLTDはBB搭載箇所が一箇所わかりませんでした。

ローラーベアリングについて
ローラーベアリングはリールの逆回転防止機構の中に全機種組み込まれています。これがないとリールが逆回転をしてしまいます。

一覧表からわかること

  • クラスが上がるほどBB搭載個数が増えていく。
  • 両社共に、ドライブギアとピニオンギアの支えに必ずBBを使用している。
  • SHIMANOのハイエンドにはスプールの上下にBBを配置している。DAIWAではイグジストのみがスプール上下に配置。ドラグ安定化の為の配置だが、そこに対する考え方が違うのではないのか。
  • DAIWAのS字カム方式のオシレーティングギアには全機種BBが搭載されている。SHIMANOのS字カム方式搭載機種はオシレーティングギアにBBはない。
  • SHIMANOのラインローラー部にはBB搭載機種は防水機構が搭載されている。DAIWAの2000番クラスに防水機構は搭載されていない。
    (DAIWAのイグジストはフィネスカスタムモデルでなければラインローラー部にセルテート同様マグシールドボールベアリングが搭載されている。)

各クラスを見ていく

ハイエンドクラス

SHIMANO・DAIWA BB搭載一覧表ハイエンド
SHIMANO・DAIWA BB搭載一覧表ハイエンド

最高峰のステラVSイグジスト。剛性のツインパワーVSセルテート。軽さのヴァンキッシュVSルビアス。といった構図だと思います。両者ともに多くのBBを使用しています。

違いが見られるのはスプール上下をBBで挟んでいるSHIMANO。DAIWAはイグジストのみがBBを使用しており、セルテートとルビアスはBB不使用で上下をカラーで挟んでいます。SHIMANOではリジッドサポートドラグと言う名称でスプールをBBで挟んでいます。DAIWAでは特にそのような名称明記がありません。ドラグを安定して動作させるためにBBを使用するということがSHIMANOのサイトからはわかりますので、BBなのかカラーなのかでドラグに対しての考え方が各社で違うのか、入れないことで上位との差別化をしているのかなと思われます。社外品ですがセルテートとルビアスのフルBB化キットがあるようです。

SHIMANOリジッドサポートドラグ
http://fishing.shimano.co.jp/product/s/technology/spinning_reel/detail.html#spinning_reel21

SHIMANOではラインローラー部に防水機構を積極的に採用しています。絶対に水を入れないでBBの性能を保つぞという事がわかります。DAIWAはマグシールドボールベアリングがありますが、イグジストでもフィネスカスタムを除く機種とセルテートにのみ搭載されています。今回ライトゲームに向いているイグジストフィネスカスタムの2000番のリールには搭載されていません。

駆動部分のウォームギアへのBBはツインパワーとヴァンキッシュにはカラーが使用されています。剛性を謳っているツインパワーにはBBが入っても良いのでは?と思うのですが、設計では必要なかったのでしょうか。対するDAIWAのオシレーティングギアには全機種BBが搭載されています。

ミドルクラス

SHIMANO・DAIWA BB搭載一覧表ミドルクラス
SHIMANO・DAIWA BB搭載一覧表ミドルクラス

ミドルクラスでは、多くても7個のBBが搭載されています。
両メーカーが基本的にBBにしたい部分「ドライブギア両端・ピニオンギア上下(DAIWAはオシレーティングギアも)」は抑えつつ、このクラスの中で上に行くにつれて付加価値をつけていくといった感じでしょうか。
SHIMANOは全機種にラインローラーをDAIWAではフリームス以外に搭載されています。ライトゲームをするにあたってラインローラーBBの有無は糸撚れ問題を軽減させるのに大きく貢献します。ラインローラー部にカラーが使用されていてもしっかり管理していれば糸撚れの問題に発展しにくくなりますが、BBとカラーでは回転性能が全然違いますので、ライトゲームをする時には欲しい部分でもあります。
またSHIMANOはラインローラー部に防水機構を採用しておりそもそも水が入りにくくなっています。

このクラスで上位のSHIMANOのリールには防錆BBが使用されていますが、DAIWAでは使用していても2個です。おそらくボディにマグシールドを採用しているので中まで水が入らないから要らないとしているのかもしれません。
SHIMANOもボディの防水機構(X・コアプロテクト)をこのクラスの全機種に採用していますがクラス内上位には防錆BBを使用しています。

エントリークラス

SHIMANO・DAIWA BB搭載一覧表エントリークラス
SHIMANO・DAIWA BB搭載一覧表エントリークラス

エントリークラスでは両メーカーが必要最小限のBB搭載となっています。
ここでの棲み分けは上位は防水機構があること、下位には基本性能のみが搭載されている事で価格に差がついているようです。
このクラスではBBはおそらく基本性能を維持することのみに使用されているので、使用するなら一番価格の低い17セドナと20レブロスでも良いかなという気がします。

釣種専用

SHIMANO・DAIWA BB搭載一覧表釣種専用
SHIMANO・DAIWA BB搭載一覧表釣種専用

釣種専用設計のクラスです。
SHIMANOの17ヴァンキッシュFWはトラウトに入るようです。ここには無いのでハイエンドの項目を確認してください。
釣種専用設計だけあってBBはエントリークラス以上の搭載のようです。

やはりSHIMANOの方がボディの防水機構を採用しながらも防錆BBを積極的に使用しています。

これを見てちょっと残念に思ったのが月下美人シリーズにハンドルノブBBが無かったり、ラインローラーBBが無い機種があることです。ハンドルノブはなくてもまぁ良いのですが、釣種専用なのだからせめてラインローラー部にはBBが欲しいところです。

まとめ

安いものには基本のみが、高いモデルには回転部分をカバーする数と防錆能力のあるBBが使用されている事がわかりました。
回転部がカバーできる数があればもちろん良いのですが、コストや同クラス内での差別化の為にBBが使われない選択がされているものと思います。
どれが良いとの結論はBBの数を見ただけでは決めることはでず、ギヤ・ボディ・スプール等総合的に見て良し悪しを判断となります。

ここでは、ライトゲーム・エリアトラウトをする際に扱いやすい2000番の機種のどの部分にどれだけBBが配置されているのかを知って、リールを買う際の総合的な判断材料の一つとして知識を入れるということを自分の目的としました。
私の場合、ライトゲームをする際に絶対欲しい部分はラインローラー部のBBですので、ミドルクラス以上のリールが候補にあがります。どれが良いのかはまた他の事を調べて記事にしてみようと考えています。

ここにある資料が他の方の役に立てば嬉しいです。

ベアリングについて

ボールベアリングについて

NTN株式会社にBBについて簡単に説明がなされていました。
https://www.ntn.co.jp/japan/what_is_bearing/index.html

リールに使用されるBBも同じものですので知識として知っておくと楽しいかもしれません。

ローラーベアリングについて

リールでは逆回転防止に使用されています。
良い説明が見つからなかったので、ワンウェイクラッチで検索してみてください。

その中身は知らなくても釣りには支障は全く無いのですが、知りたい方はgoogle先生にお願いします。

参考資料

仕様一覧
SHIMANO汎用スピニングリール仕様一覧
http://fishing.shimano.co.jp/product/reel/pdf/spec_hanyou_reel.pdf

DAIWA小型スピニング仕様一覧
http://daiwa.globeride.jp/catalog/sougou/2020/reel_hyo/html5.html?xd_co_f=YmRkNzVhZTgtYTlhMi00MGRkLTlkN2YtZTEwYjVkYzU5OTc2&_ga=2.71590995.1586839833.1588399707-1269014777.1586592891#page=2

展開図
SHIMANOパーツ価格表
https://www.shimanofishingservice.jp/price.php?f_p_cate1_id=1

DAIWA
スポーツライフプラネッツより
DAIWA小型スピニング部品表・展開図
http://www.sl-planets.co.jp/shop/c/

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