スピニングリールの価格と中身を展開図から見る

タックルと道具

ここではライトゲームとエリアトラウトに使用する番手のスピニングリールの価格と中身を一覧表にしてみました。
メーカーの希望小売価格を載せていますので、実際に店頭で買う時の実売価格とは異なります。あくまで参考程度に考えてください。

条件

  • SHIMANOとDAIWA
  • ライトゲームとエリアトラウトで扱いやすい2000番を基本
  • 汎用スピニングリールと釣種専用
  • 価格はメーカーHPの希望小売価格と部品表の価格を表記
  • 2020年4月末現在の情報

ここでは上記を基本として調べました。

スピニングリール価格表

SHIMANOとDAIWAの汎用超スピードスピニングリール価格表
SHIMANOとDAIWAの汎用スピニングリール価格表

SHIMANOの方が値段設定からクラス分けがされている印象を持ちました。DAIWAはエクセラーとフリームスが3,300円、バリスティックとルビアスが1,600円とクラスの境目で微妙な値段の設定になっています。これだと頑張って上のクラスを買っちゃった方が良い気になります。上位下位で重さは約100gの違い。エントリークラスの上位モデルとハイエンドクラスのモデルでは重さが10-20g程度しか変わらないようです。ベアリングの数や他の部品点数が多いはずなのに少しでも軽くする為にメーカーは頑張っています。

ギア

SHIMANOとDAIWAの汎用超スピードスピニングリールギア価格表
SHIMANOとDAIWAの汎用スピニングリールギア価格表

SHIMANOのHAGANEギアの素材は超々ジュラルミンです。ステラのみ特殊表面処理が施されており、これがステラ特有の巻心地になるそうです。それぞれのクラスで同じ価格のものは同じ素材と処理をしていると思われます。ただし、19ストラディックにあるマイクロモジュールギアⅡは、ハイエンドにあるマイクロモジュールギアⅡとは若干異なるようで、安いモデルと高いモデルで差をつけてあるようです。

DAIWAのギアは仕様一覧には特に材質が何とは明記されていませんでした。リール個別のページに書いてあったりなかったりで問い合わせをしないとわからないようです。使用している素材は、超々ジュラルミン・超ジュラルミン・亜鉛のようです。それぞれをマシンカットタフデジギア・タフデジギア・デジギアⅡと製法を変えてそれぞれのクラスに使用しています。

両者ともにピニオンギアは真鍮を使用。ドライブとピニオンを素材違いで組むことで耐久性を持たせているようです。
ここでもハイエンドクラスに行くに従って、部品の価格が上昇していく事がわかります。

ボディ

SHIMANOとDAIWAの汎用超スピードスピニングリールボディ等価格表
SHIMANOとDAIWAの汎用スピニングリールボディ等価格表

ボディ・ローター他ちょっとを載せた表を作成しました。
数字は価格を表しています。
両社最高峰リールのボディはお金がかかっています。
両社ともに、リールフットがついている側の部品の価格が高くなています。(SHIMANOは部品名がフタになっているものにリールフットがついているものがある)
モノコックボディを採用しているDAIWAの方がボディを閉じるための部品が多く高い。

SHIMANOの表にはリールのコンセプトシリーズを入れてみました。
滑らかな巻心地を求めたコアソリッドシリーズにはMg(高強度樹脂)ローターを採用。巻きの軽さの求めたクイックレスポンスシリーズにはCI4+ローターを採用。それぞれに方向性を持たせたリールになっています。
コアソリッドはローターの慣性で一定に巻き続ける釣りに向いていて、クイックレスポンスは巻の軽さからくる感度(流れの変化や抵抗)やルアーに細かい変化をリールで加えるような釣りに向いてます。
トラウトなんかは巻の釣りですが小さな変化を感じるためには巻の軽さが大事になってくるのでクイックレスポンスが向いていると思います。トラウトチューニングの17ヴァンキッシュと18カーディフがそれを物語っています。海のライトゲームでもターゲットは近場の小物なので、居そうな雰囲気を感じやすいのはクイックレスポンスシリーズなのかなと思います。
コアソリッドの巻き続ける釣りでイメージできるのはイナダやサワラ等のジギングのシーンではないでしょうか。
最終的にはどっちの巻のフィーリングが好きかどうかの判断になると思います。私は買うなら巻感度が少しでも高いクイックレスポンスシリーズを買おうと思います。

DAIWAではZAIONを積極的に使用していることがわかります。
上位機種のローターは全部ZAION。自信のあらわれなのでしょうか。
SHIMANOとの違いは、ハイエンドでモノコックボディを採用していることです。モノコックにすることで今までよりも高い剛性を持ち、ねじれやたわみに強く、省スペースを実現させた構造。従来と同じスペースならドライブギアを大きくでき、従来の大きさのドライブギアを使用するならボディを小さくできるそうです。こうしたメーカーの違いはユーザーの選択肢を増やしてくれて絶対的にこっち!と言うことが言えないので、道具を使う楽しさを持たせてくれる良いことだと思います。
DAIWAのコンセプトは「LIGHT and TOUGH」。2018年以降に発売されたものはすべて「LTコンセプト」として発表しています。

SHIMANO
クイックレスポンス特設サイト
http://fishing.shimano.co.jp/product/s/reel/quick_response.html
コアソリッド 14ステラに表記有り
http://fishing.shimano.co.jp/product/reel/3504

DAIWA LTコンセプト
https://www.daiwa.com/jp/fishing/item/reel/spin_rl/LT_LightTough/index.html

19ヴァンキッシュのボディについて

19ヴァンキッシュ展開図
SHIMANOより19ヴァンキッシュ展開図

19ヴァンキッシュはリールフットがある方(図面128番)がマグネシウム、それにはめ込む方(図面31番)はCI4+を使用したハイブリッドボディです。軽さを軸に剛性も損なわないよう徹底して考えられていました。リールを組み立てる際のねじ込み部分はCI4+素材に直接ねじ切りをするのではなく、ねじ込み用金属が埋め込んであり、オーバーホール等で再組み立てをした後でもガタが出にくくなるように作り込んであります。ステラとは約2.3万円の違いがありますが、それに迫る本気の作り込みを感じられたのが19ヴァンキッシュです。5.7万円と高い値段設定ですが欲しいリールになりました。

17ヴァンキッシュFWはマグネシウムのフルメタルボディ。こちらもモデルチェンジをした場合、同じようにハイブリッドボディに生まれ変わるのでしょうか。
個人的にはフルメタルってのが憧れるのですが、作り込み本気具合を見てしまうとMgとCI4+のハイブリッドのヴァンキッシュめっちゃいいじゃん!

黒田健史さんのブロブでヴァンキッシュの凄さを解説しています。
バスプロの人みたいです。
https://kenshikuroda.com/tackleno_iroha/11036/

駆動系

ここで見ている汎用・釣種専用スピニングリールは各メーカー駆動方式があります。
SHIMANOはクロスギアとS字カムの2種類の駆動方式を採用。
DAIWAはS字カム方式を採用しています。

クロスカム方式

SHIMANOサイトよりX-SHIPの画像
SHIMANOサイトよりX-SHIPの画像

①金色のドライブギアをハンドルで回すことで、それに繋がっている右下の②ピニオンが回ります。ピニオンと繋がっている③中間ギアが回り、④ウォームシャフトが回ります。ウォームシャフトの溝に沿って⑤U字型の部品が動きます。★マークは⑤が左右にのみ動くようにするためのガイド棒です。⑤と繋がっている⑥シャフトも左右に動いてスプールを上下させます。

S自カム方式

オシレーティングギアの動き1
S字カムとオシレーティングギア
オシレーティングギアの動き2
①オシレーティングギア
②S字カムシャフト組
②はガイドで左右方向に動けなくなる
オシレーティングギアの動き3
オシレーティングギアの動き

S字カムはこのように動作します。

駆動系部品価格表

SHIMANOとDAIWAの汎用超スピードスピニングリール駆動系価格表
SHIMANOとDAIWAの汎用スピニングリール駆動系価格表

ハンドルを回すとスプールが上下するという結果は同じでも、その中身の駆動方式がまるっきり違う両社のリール。どっちが良いとかは無いので、実際に使用してみないことにはわかりません。

SHIMANOのクロスギア方式もS字カム方式も同じ値段のものはおそらく同様の加工と処理がなされているものと判断できます。

DAIWAはエントリーからハイエンドまでS字カム方式で統一されています。
オシレーティングギアは各クラス毎に同じものを使用しています。表の型番を見てもらえるとわかると思います。
オシレーティングポスト(SHIMANOはガイド)も長さ太さの違いだけでほぼほぼ同じものを使用していると思われます。
20ルビアスはオシレーティングポストという部品は存在せず、リアキャップを締めるためのスクリューでガイドを兼用していました。

さて、表から気になったのがシャフトの上下運動を振らさないようにする為のガイドの数です。
シャフトの左右方向のブレを抑える事を基本的には1本のガイドに委ねています。厳密に言えばシャフトが通るスプールまでの間にBBやカラーがあり支えられているのですが、上位機種くらいは駆動に近い部分のガイドが片持ちでなく両持ちでも良いのではと思います。特に高剛性を謳っている20ツインパワー・19セルテートと、それ以外でも3000番以上のボディで、ある程度の大物とのファイトに使うリールにはあっても良いような気がします。
そんな中力を入れているのが18ステラと17ヴァンキッシュFWです。巻きに対するコンセプトこそ違えど、徹底して追求したこの2機種はやはりここでも作り込みが違います。ガイドが両持ちでありブレの軽減を追求しています。
DAIWAでもこのガイドを両持ちさせている機種がありましたが、18フリームスの3000番以降・17エクセラー・16イプリミでした。この違いは何なのでしょうか。

ドラグ

SHIMANOドラグ部品
SHIMANOドラグ部品
DAIWAドラグ部品
DAIWAドラグ部品

SHIMANOは部品品番が明記されておらず、部品名をそのまま表記しました。

DAIWAは品番が有りましたのでそれを表記しました。
スプールは全て品番が違いそれぞれの機種に専用のものだと判断しましたので品番は載せてません。

表にして思ったことは、ドラグ力を決めるドラグワッシャーが各社内それぞれのリールで共通部品になっている事がわかります。SHIMANOは価格から、DAIWAは品番からわかります。1000・2000番なのでフェルトワッシャー1枚仕様です。ドラググリスについての事が部品表からは取れませんでした。上位と下位で違いがあるのでしょうか。おそらく無いような気がします。そして、ドラグの中身は高く無いことがわかります。スプールの方が高い。
SHIMANOはドラグを安定させる為にスプールの上下をBBで挟んだ「リジッドサポートドラグ」を採用しています。これと同じ仕組みをDAIWAではイグジストのみが採用しています。表右側の「カラーorBB」はスプールの上側にあるかないのかの事です。SHIMANOのハイエンドは全てリジッドサポートドラグ採用。DAIWAのハイエンドではイグジストのみがBBでスプール上下を挟んでおり、他はスプール下もカラーで挟んでいます。

SHIMANOリジッドサポートドラグ
http://fishing.shimano.co.jp/product/s/technology/spinning_reel/detail.html#spinning_reel21

まとめ

  • ボディとギアが高価で技術が詰まっている
  • 両社の違いは駆動方式(S字カム・クロスギア)
  • 駆動方式に違いが有り使う楽しさがある
  • 駆動系はの中身はそんなに高いものではなかった
  • ドラグ設定値がSHIMANOは3kg・DAIWAが5kg
  • ドラグの中身は共通化していて高価ではない

だいたいこういった事がわかりました。
展開図・部品図を見ながら調べたことで、リールの主な構造と仕組みがわかるようになりました。
わかればわかるほど、結局ハイエンドモデルが欲しくなってしまいますね。

ここでの一覧表が何かの役にたてれば嬉しいです。

参考資料

仕様一覧
SHIMANO汎用スピニングリール仕様一覧
http://fishing.shimano.co.jp/product/reel/pdf/spec_hanyou_reel.pdf

DAIWA小型スピニング仕様一覧
http://daiwa.globeride.jp/catalog/sougou/2020/reel_hyo/html5.html?xd_co_f=YmRkNzVhZTgtYTlhMi00MGRkLTlkN2YtZTEwYjVkYzU5OTc2&_ga=2.71590995.1586839833.1588399707-1269014777.1586592891#page=2

展開図
SHIMANOパーツ価格表
https://www.shimanofishingservice.jp/price.php?f_p_cate1_id=1

DAIWA
スポーツライフプラネッツより
DAIWA小型スピニング部品表・展開図
http://www.sl-planets.co.jp/shop/c/

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